ガイドラインGMP2026.10.29
医療機器の回収模擬訓練:ロット別の出荷・連絡・数量を検証
連絡先一覧があるだけでは回収対応を確認できません。一つのロットを追い、出荷先、顧客保有量、未確認数量を照合して実際の対応上の不足を見つけます。
要点 — 回収訓練は連絡先を読む行事ではなく、実際の製品の流れを追う点検です。連絡成功、所在確認、現物返送を別々に記録します。
訓練と実際の回収を区別する
医療機器法第31条は危害またはその危険を知った場合の回収等と、製造・輸入業者の回収計画報告を規定します。KGMP別表2の8.3.3も納入後の不適合の影響に応じた措置と、いつでも実行可能な勧告文の手順を要求します。実際の問題では適用義務を速やかに評価します。
本記事の訓練は準備を点検する実務方法であり、全企業に共通の実施回数を課すものではありません。対象製品・ロット、仮想問題、範囲、担当、完了基準を定めます。内部記録のみか顧客連絡も含めるかを決め、外部連絡には訓練と明示した承認済みの案内を使います。
追いやすいロットだけを選ばない
直近の単一顧客ロットだけでは流通の難しい部分を見逃します。リスクと商流に応じ、販売店、分割出荷、返品、倉庫移動を含むものを選ぶと有効です。ソフトウェアの事例では版と導入対象も必要になる場合があります。
範囲を明確にした上で、製造・輸入、出荷承認、配送、販売店の再供給先、顧客状態をつなげます。UDIと識別情報は役立ちますが、コード登録だけで全出荷先や現在数量が分かるわけではありません。
移動記録と連絡先を同時に確認する
| 段階 | 必要な記録 | 発見される不足 |
|---|---|---|
| 識別 | 品目、モデル、ロット・製造番号、版 | 同モデルの複数ロット混在 |
| 出荷 | 日付、数量、供給先、移動、返品 | 帳簿の顧客と実受領先の違い |
| 連絡 | 現担当、試行、応答 | 退職者のメールだけが残る |
| 状態 | 保有、使用、再供給、返送数量 | 再供給先や残数が不明 |
| 措置 | 保留、返送、処理の証拠 | 連絡完了を措置完了とする |
担当者の記憶で補った情報が記録不足を隠す場合があります。どの資料で何を確認し、追加連絡がなぜ必要だったかを残します。不要な個人情報を集めるのではなく、適切な業務連絡経路とアクセスを維持します。
数量は重複なく照合する
仮に120個が、自社倉庫20、顧客保留60、使用済み20、返送済み10、未確認10なら合計120個です。顧客が応答しても保留60個は返送済みではありません。使用済み品は現物回収の可能性が異なるため、根拠と必要な後続対応を別に確認します。
回収率の分母は総製造・輸入量か実際の対象数量か、適用基準と計画に従って明示します。未確認を分母から任意に外して良い結果にしてはいけません。連絡率、所在確認、返送数を分け、数量が移ったら元の状態から減らして二重計上を防ぎます。
不明な製品を改善課題にする
連絡不能、販売店以降の記録不足、システムと倉庫の差異には原因と担当を設定します。販売店に求める記録・協力、退職や契約変更後の連絡先更新を確認し、必要なら契約や手順を改善します。
担当、目標日、変更する記録・手順、再確認方法を定めます。未確認品をすべて使用済みと推定すると弱点を隠します。苦情受付と調査記録につなげれば、最初の情報から後続措置まで確認できます。
本当の問題は訓練の外で対応する
実際のロット混入、安全欠陥、未報告事象が見つかる場合があります。訓練という名称を遅延理由にせず、品質・安全担当が実際の案件を分けて評価し、報告と回収の必要性を判断します。
報告書には選定理由、範囲、資料出所、数量照合、所要時間、不足、改善と再確認を残します。対象製品と出荷・返品記録を基に無料事前検討で点検範囲を整理できます。
公式資料確認日:2026-09-28。医療機器法第31条、KGMP第2026-46号別表2の7.5.9・8.3.3・8.5。訓練方法と数量は実務例であり、実際の回収の範囲・期限・報告様式に代わるものではありません。
よくあるご質問
- Q. 全製品に毎年の模擬回収義務がありますか。
- 本記事は一律の年次法定義務を示すものではありません。適用規定、品質システム、契約、リスクに応じて範囲と頻度を定める実務方法です。
- Q. 全顧客に連絡できれば成功ですか。
- 連絡と製品所在確認は異なります。保有、使用済み、返品、再供給、未確認の数量と根拠を照合します。
- Q. 訓練で実際の欠陥を発見したらどうしますか。
- 実際の品質・安全手続きへ移して評価します。医療機器法第31条等の報告・回収義務を訓練終了まで遅らせることはできません。
