ガイドライン手続き別2026.09.04
医療機器の製造業許可 — 会社の許可と製品の許可は別の手続きです
製造業許可は製造所ごとに受ける会社単位の許可で、品目許可・認証・届出は製品単位の手続きです。二つは別物で、並行させると日程が縮みます。製造業・輸入業・販売業の分かれ目から、製造所・人・品質管理体系の三軸まで整理しました。
要点 — 医療機器の許認可で最も混同されやすい二語が製造業許可と品目許可です。製造業許可は製造所ごとに受ける会社単位の許可(医療機器法第6条第1項)で、品目許可・認証・届出は製品単位の手続きです。要件が違い、審査するものも違います。だから順番に踏めば日程が二倍になり、並行設計すれば半分になります。2026年9月確認基準で整理しました。
二つの許可を一つだと思うところから始まります
相談で「製造の許可はどれくらいかかりますか」と聞かれると、聞き返すことになります。会社の許可のことか、製品の許可のことか。
二つの手続きはこう分かれます。
| 製造業許可 | 品目の製造許可・認証・届出 | |
|---|---|---|
| 単位 | 製造所ごと(会社・場所) | 製品ごと(品目) |
| 何を見るか | 施設、人、品質管理体系 | その製品が安全で性能があるか |
| 根拠 | 医療機器法第6条第1項 | 同条第2項 — 等級に応じて許可・認証・届出に分かれる |
| 成果物 | 製造業許可証 | 品目別の許可証・認証書・届出証 |
両方そろってはじめて製品が市場に出ます。 製造業許可だけあれば作る資格はあっても売る製品がなく、品目手続きだけでは作る主体がありません。
そして重要な実務上の含意があります — 二つの手続きは要件が重ならないため同時に進められます。 施設を整え品質責任者を選任する間に技術文書と試験を進めれば、順番に行うより日程が大きく縮みます。届出・認証・許可が等級に応じてどう分かれるかは手続き総まとめで先に確認すると理解が早くなります。
まず — 自分はどの業か
製造業許可を調べる前に確認すべきことがあります。本当に製造業なのか。
| 業 | 何をするか | 根拠 |
|---|---|---|
| 製造業 | 製造所を置いて医療機器を作る | 製造業許可(法第6条第1項) |
| 輸入業 | 海外で作られたものを輸入する | 輸入業許可(法第15条第1項) |
| 販売業 | 国内で流通・販売する | 販売業届出 |
最もよくある誤解がここにあります。 海外工場で作った完成品に自社ブランドを付けて売る形態を製造業と考える場合がありますが、製造業許可は製造所ごとに受ける許可なので国内の製造所が前提です。国内に製造所を置かずに完成品を輸入するなら、それは輸入業の領域です。
この判断が先である理由は単純です。業が分かれれば施設基準も、必要書類も、費用も全部変わります。 事務所を契約した後に「うちは製造業ではなかった」と分かれば、その契約がそのまま埋没費用になります。販売業のほうは販売業届出ガイドに別途まとめています。
製造業許可が見る三つの軸
①製造所 — 施設基準
根拠は施行規則第8条第1項と[別表2]施設と製造及び品質管理体系の基準です。作業所・保管所・試験室など何をどう備えるべきかがここから出ます。
実務の順序で重要な地点 — 敷地や建物を契約する前に別表2を先に読むべきです。 作ろうとする製品によって求められる空間の性格が変わり、既存建物の構造では合わせにくい場合が出てきます。契約後に分かれば改造費用が付くか、場所を探し直すことになります。
輸入業なら同規則**第31条第1項と[別表4]**が対応規定です。
②人 — 品質責任者
製造所ごとに1名以上の品質責任者を置く必要があります(施行規則第11条第1項)。許可申請段階の要件なので、人がいなければ手続きが始まりません。
そしてこれがリードタイムの最も長い項目である場合が多いです。資格経路が十通り開かれているため選択肢は思ったより広いのですが、その経路に該当するか確認し証憑を集めるのに時間がかかります。資格要件と兼任制限、教育義務は品質責任者ガイドにまとめています。
順序を逆にしないでください。 施設を探す前に人から確認するほうが安全です。施設は金と時間で解決しますが、資格要件はそうではありません。
③品質管理体系 — KGMP
製造及び品質管理基準の適合認定、現場でよくKGMPと呼ばれるものです。別表2の表題が「施設と製造及び品質管理体系の基準」であることからも分かるとおり、施設と品質管理体系は一括りで扱われます。
KGMPは文書を作る仕事ではなく会社が実際にそう回るようにする仕事なので準備期間が長く、品目手続きと数値をやり取りします。詳細はKGMPガイドをご参照ください。
委託製造を考えているなら
製造工程の一部を外部に任せる形態は実務でよく使われます。ただし原則が一つ明確です — 工程を任せても品質に対する責任は製造業者に残ります。
したがって委託構造を使うとしても、受託先をどう選定し管理するか、その過程をどう記録するかが品質管理体系の中に入っていなければなりません。「任せたのでうちの所管ではない」は成り立ちません。
一方、国内に製造所をまったく置かない構造を検討中なら、それは委託製造の問題ではなく前述の業の分かれ目の問題です。輸入業として設計するほうが正しいかから確認する必要があります。
日程を縮める設計
二つの手続きが別物だという事実は、すなわち並行できるという意味です。実務で使う順序はおおよそ次のとおりです。
- 業の確定 — 製造業か輸入業かを先に決める
- 人の確保に着手 — 品質責任者の資格経路確認(最も長いリードタイム)
- 品目の確定 — 作ろうとする製品の品目名・等級を確定する。この結果が施設要件と品目手続きの両方を決める
- 並行進行 —(施設構築+品質管理体系)∥(技術文書+試験)
- 製造業許可 → 品目手続きの順で仕上げる
3が分かれ道です。品目と等級が決まってはじめて、別表2で何が求められるか、品目手続きが届出か認証か許可かが決まります。品目を確定せずに施設から建てるのが最も高くつく失敗です。
よくある失敗
- 製造業許可だけ取っておいて品目手続きを後回しにする — 作れても売れません
- 品目・等級を確定しないまま敷地・建物から契約する
- 品質責任者を最後に探して許可申請が遅れる
- 海外完成品を輸入しながら製造業として準備し、後から輸入業へ転換する
- 工程を委託すれば品質責任も移ると理解する
着手前チェックリスト
- 製造業/輸入業/販売業のどれかを確定
- 作る製品の品目名・等級を確定 → 品目手続き(届出・認証・許可)を確認
- 品質責任者候補の資格経路の特定と証憑確保の可否を確認
- 契約前に施行規則[別表2]の施設基準と対象の敷地・建物を照合
- KGMP準備の着手時点を決定 — 品目手続きとの並行計画を立てる
- 委託工程があれば受託先の選定・管理手順を品質管理体系に反映
- 製造業許可と品目手続きの並行日程表を作成
製造業で始めるか輸入業で始めるか、そしてどの時点で何を並行させるかは品目が決まってはじめて答えが出ます。 作ろうとする製品の概要と計画中の事業形態さえ教えていただければ、どの業が合っていて何から着手すべきかを無料事前検討で確認します。
よくあるご質問
- Q. 製造業許可を受ければ製品も売れますか。
- いいえ。製造業許可は製造所ごとに受ける会社単位の許可であり(医療機器法第6条第1項)、製品を市場に出すにはそれとは別に品目別の製造許可・認証・届出が必要です。二つは見るものが異なるため、順番に進めるのではなく並行して設計するのが全体日程を縮める方法です。
- Q. 海外工場で作った完成品を輸入して自社ブランドで売る場合、製造業ですか。
- 製造業許可は製造所ごとに受ける許可なので、国内の製造所が前提になります。国内に製造所を置かずに完成品を輸入する形態であれば製造業ではなく輸入業の領域で、輸入業は食薬処長の輸入業許可の対象です(医療機器法第15条第1項)。ブランドを付けるという事実だけで製造業になるわけではないため、まずどの業かを確定しないと施設基準も必要書類も定まりません。
- Q. 製造業許可に必要な施設基準はどこにありますか。
- 医療機器法施行規則第8条第1項と[別表2]施設と製造及び品質管理体系の基準です。輸入業は同規則第31条第1項と[別表4]が対応します。事務所・作業所・保管所の要件がここから出るため、敷地や事務所の賃貸借契約を結ぶ前に別表の基準を先に確認するのが順序です。
- Q. 品質責任者は製造業許可の前に必要ですか。
- 製造業許可を受けるには製造所ごとに1名以上の品質責任者を置く必要があります(施行規則第11条第1項)。許可申請段階の要件なので人がいなければ手続きが始まらず、資格経路の確認と証憑の収集はリードタイムが最も長い項目に入ります。施設を探す前に人から確認するほうが安全です。
